93゚
(15) -Side幸慈-
「はぁ…おい。早く帰るぞ」
李以を引き連れ、ある場所から素早く立ち去る
ったく、疲れた…
PiPiPi...
後ろから携帯が鳴る音がする
李以の奴…また女か?
「はいはぁい」
また深いため息をつき、車に乗る
助手席に乗り、李以が来るのを待ちながら携帯を開く
「遙…?」
遙からの着信が十何件入っている
かけ直そうと思った矢先…李以が慌てた様子で戻ってきた
「本家…狙われたみたいだぜ」
「あ?…どっから漏れた」
俺が本家にいるから、本家は安全なのに…どこから俺が不在だと漏れた?
詩遠は…無事なのか?
「幸慈…暴れんなよ?詩遠くんか?いないらしい」
詩遠がいない?
やられたな……
妙に落ち着いている俺に李以は意外だったのか、なにも言わず車を走らせた
「白川組だとよ」
「雑魚が。そんなに潰して欲しかったのか…」
「落ち着いてねぇし」
首をボキボキ鳴らして煙草に火を付ける
せいぜい今を楽しむ事だな
もう月を拝めなくしてやるよ
「李以、本家に付いたらお前は手当てな」
「はいよー」
暫くして本家に着くと、ざわついているのが分かる
俺が中に入るとまず目に入ったのは、肩から血を流している遙だった
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