93゚
(16)
「すいませんっ…俺…」
痛みを堪えながら謝る遙の姿に大人数で来たと思った
今日はたまたま俺も居なかったし、本家の人も少なかった
久原の人間に手出したらどうなるか分からせねぇと…
「遙さんっ!!」
「志紅くん…無事で良かった」
目に涙を溜めながら遙に抱き着く志紅
仕方ない…一旦その場を離れて本家の中を見る
詩遠を取り返したら大掃除だな
「幸慈さん、すいません…」
遙と同様に怪我をしながら來人が謝る
俺より低い來人の頭をグシャグシャに撫で言う
「その怪我1分で治せ。もう少しで出掛けるぞ」
「…っはい!!」
そのまま長い廊下歩いていくと、スレ違った奴に目がとまった
不自然に血が皮膚についているし、傷もない
「てめぇ、なにもんだ?」
素早くソイツの両手を後ろに纏め、肩を床に付ける
「っく…」
「見ねぇ顔だと思ったぜ…詩遠をどこやった…あ゛ぁ?」
「言う、わけねぇだろ…」
顔を苦痛に歪めながらも頑として言うことを聞かない
はぁ…こういうのは専門外だ
…丁度良いところで壊人が目を押さえながらこっちにきた
「こいつに白川がどこにいるのか聞き出せ」
「俺がッスか?」
「色仕掛けでもしてみろ」
壊人が交渉している傍で携帯を見つめる
鳴るわけないか…そう思いながらもどこか期待している
詩遠…どこにいるんだ…
「幸慈さん、〇〇町の□□ってところですよ」
「早いな…」
「コイツが早いだけですよ」
肩に付いている人間を剥がしながら、服を整える壊人
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