93゚
(14)
ここ…どこだ?
真っ暗だ
重い瞼を開けると、まず最初にコンクリートの屋根が目に入った
「お目覚めか?……と、こいつが詩遠で良いんだよな?」
「はい。久原の女です」
久原の女…?
幸慈の事かな?
「わりぃな。あいつを殺るためだ。恨むなら久原を恨めよ」
どういう事?
本当、意味が分からない
ヤクザさんが白川組って言ってたよね…?
まさか幸慈と敵対している組とか…
ってなんか俺、ヤクザについて知ってきちゃった?
「………やるって?」
「あ、意味分かんなかった?…殺すって事」
ニッコリ笑いながら懐からナイフを出す
幸慈を…殺すって事?
俺はまた大切な…大好きな人を目の前で亡くすの?
そんなの…やだよ……
「やだ…う゛ぁあ、ぁあ゛あ…」
目の前が真っ暗になって頭痛もしてきて、頭を抱えた
「なんだ…っよ。息できね…」
幸慈に会いたい…幸慈…
身体を動かそうとしても重くて持ち上がらなかった
「こー…じ。たすけ…」
そこで、後頭部に激しい痛みを感じ、また意識が飛んだ
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