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(03)
葎が獣医になりたくて、専門の大学に行ったというのは耳にした
「中退してんだな…」
資料を見て残念に思う
あんなに獣医になるんだ。と張り切っていたのに
資料にはこうあった
専門大学を中退し、桜鳳会に入り奴隷のような扱い
中退した理由は、両親が事故によりいっぺんに亡くなったから
生活が苦しくなり桜鳳会に
しかし、桜鳳会での生活も辛く、抜けようと思っても抜けられない
「こうしてみると、なんだか恨めないですね」
來人が同情に近い声色を出す
「そうだな」
李以と懐人も頷く
そうだ…葎が裏切るわけがない
別になにもなかったんだ
ただ本家を狙われただけ…ただ仲間を少し、少しだけ傷つけられただけ
俺は葎を信じればいい
桜鳳会にいても仕方のないこと
理由があったんだ。
それに桜鳳会が詩遠の両親を殺したと決まっていない
「いいか?今回のことは忘れろ。葎は俺の仲間だ…桜鳳会を潰す気もない。いいな」
俺がそう言うと、遙以外、戸惑いながらも頷いた
遙は返事をしないで俺の部屋を出ていった
遙の態度も気になったが、今はそれどころじゃない
葎の事は終わった
あとは監禁している白川のものをどうするか。だ
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