93゚
(04)
「なぁ…どうして欲しい?久原のもんになるか、死んで白川のところに帰るか」
白川の奴に聞くと、びくびくしながら見張り役だった懐人を見つめる
…まさかな
懐人は白川の者を見て、ニヤリと笑う
「死ぬっのはやだ…で、も…久原のも、やだ」
涙を流しながら、懐人にすがるような目線を送る
流石の俺も、これには汗が出る…
「じゃぁ死ね」
そういって、銃を取り出す
「幸慈さん…もう分かってるでしょう?すいませんけど、俺のもんなんで手ぇ出さないでくれます?」
なかなか肝の据わっている懐人にため息を吐く
やっぱりな…
白川の者は鎖を邪魔そうに懐人を見る
懐人は優しく鎖を外し、白川の者を支える
「かいっと…んっ、ふぅ」
「懐人、ちゃんと縄つけとけよ」
二人の世界に入ってしまった懐人たちを放っておいて、部屋を後にする
はぁ……まさかのまさかだった
目眩を感じながらも、來人に部屋を移ってもらおうと思った
これを知ったら來人は怒るんだろうな…そう思いながら
[←][→]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!