93゚ (03) 葎が獣医になりたくて、専門の大学に行ったというのは耳にした 「中退してんだな…」 資料を見て残念に思う あんなに獣医になるんだ。と張り切っていたのに 資料にはこうあった 専門大学を中退し、桜鳳会に入り奴隷のような扱い 中退した理由は、両親が事故によりいっぺんに亡くなったから 生活が苦しくなり桜鳳会に しかし、桜鳳会での生活も辛く、抜けようと思っても抜けられない 「こうしてみると、なんだか恨めないですね」 來人が同情に近い声色を出す 「そうだな」 李以と懐人も頷く そうだ…葎が裏切るわけがない 別になにもなかったんだ ただ本家を狙われただけ…ただ仲間を少し、少しだけ傷つけられただけ 俺は葎を信じればいい 桜鳳会にいても仕方のないこと 理由があったんだ。 それに桜鳳会が詩遠の両親を殺したと決まっていない 「いいか?今回のことは忘れろ。葎は俺の仲間だ…桜鳳会を潰す気もない。いいな」 俺がそう言うと、遙以外、戸惑いながらも頷いた 遙は返事をしないで俺の部屋を出ていった 遙の態度も気になったが、今はそれどころじゃない 葎の事は終わった あとは監禁している白川のものをどうするか。だ [←][→] [戻る] |