貧乏学生の本田があらわれた!
フランシスは友人を心配した
「え、じゃあ何さ、お前行き倒れの男拾ったって事?」
「あー…まぁ、そうなるなー」
仕事帰り、三人は私服に着替えて徒歩でギルの自宅に向かっていた。
フランシスは、モデルといっても遜色ない格好でコンビニ袋さえも高級ブランド品かのようで、すれ違う人がチラリと羨望の眼差しを向ける。
「そんで、その男部屋に放置して来て大丈夫なん?」
アントーニョは、大量生産の安い服を着ていたが(服に拘りがあまりない)体格の良さから、こちらもやはりモデルのようだ。
「心配ねぇだろ、ひ弱そうだったし、それになんか……」
言い淀むギルは、ジャージだった。
言葉では言い表せないが、とにかく大丈夫だと感じていた。
あの、感情の読みにくい黒い瞳が頭から離れない。
「だいぶやられてるな…」
誰にともなく、フランシスは呟いた。
ギルのアパートはクラブから15分ほどの場所にある。もっと良いマンションに暮らせば良いのに、と二人は思うのだが本人は独り暮らしをするにあたってはこれで十分だといって聞かない。
「夜なんだから静かに上がれよ」
「はいはい」
フランシスが出来るだけ靴の音を殺しながら歩く。こじんまりしてる、薄ピンク色のアパートの一番奥がギルの部屋らしい。
「なんで馬なん?」
「アパートの管理人の趣味だとよ、あと馬じゃなくてポニーらしい」
アパートの手すりには、後付けらしいポニーの像が各所に着いていた。
二人は首を傾げながら、しかし鍵を開ける音で意識をギルの部屋に向けた。
「帰ったぜ……っえ」
扉を開けたギルの背中が凍りつく。
嫌な予感に、ギルを押しのけてフランシスが玄関を確認すると。
「………」
どう見ても、高校生以下にしか見えない中世的な青年が。
大和撫子よろしく、三つ指をついてそこに座っていたのだった。
しかし、よくよく確認すると。
彼はその状態で眠りこけていた。
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