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貧乏学生の本田があらわれた!
ギルはNo.2のホストだった


開店前のクラブ【悪YOU】のカウンターでは、支配人であるフランシスがグラスを磨いていた。その前では自前のトマトジュースをロックグラスに淹れて眺めるアントーニョが、眠そうに欠伸をひとつする。

「アカンわ〜…めっちゃ眠い、内職やり過ぎたわ…」

「ちょっ、頼むから仕事はしっかりしなさいよ!?お前一応No.1なんだから」

「ん〜…せやな!親分頑張るで、ロマーノ!!」

ガッツポーズをする友人に、フランシスが溜息を付く。

「動機が野郎なのは将来的に不安だけど……まぁ、やる気ない誰かさんよりはマシか」

「あー、あいつな!なんや弟を大学行かせてから独り暮らしになったやんな?」

「そうそう、それで大分肩の力抜けたみたいなんだよね〜」

「あいつにも、子分おったら変わるんかな」


その時、控え室の扉を荒々しく閉めて噂の「あいつ」もとい、ギルが何やら機嫌が悪そうにカウンター席に着いた。

フランシスが何も言わずに、水を出す。

「なんなん、腹でも痛いん?」

「ふぁ?……ああ…、ちょっとな…」

言い淀むギルの様子に二人は顔を見合わせて首を傾げた。普段はわりとフランクな奴なので、こうして悩むのは珍しい。
フランシスがおしぼりを差し出しながら、冗談半分で「彼女でも出来たのかよ?」と到底あり得ない事態を口にする。

「あ?いや、男だけど…」

「「……っ??!!!」」

おしぼりで顔を拭きながら、心ここに在らずという感じギルは否定した。しかし、他二人にとっては衝撃的過ぎて、あぁほら、フランシスの手からは拭いていたグラスが。アントーニョの手からもトマトジュースの入ったグラスが立て続けに床に散らばりました。

「おい、気を付けろよお前ら」

「ちょちょ、ちょっと、待ってくれへん?今なんか、えっ、ギルお前…」

「お兄さんバイだから別に驚かないけどっ?!でもいきなり過ぎない?!聞いて無いわよ!!」


慌てる二人を尻目に、グラスを片付けながら床にシミが出来ないように処理をし始めるギルの肩を掴んで、アントーニョは泣きながら訴えました。

「気をしっかり持てや!!エリザの事はまぁ目も当てられへんけど、あんまりやないか!!お前もこっち側なら早くカミング…」

「硝子危ねえから離せ!あとお前なに言ってんだよ、俺様はノーマルだしエリザは関係ないだろうが!」

「……ん?じゃあ何よ、男って」

ガムテープで硝子を処理して、ゴミ袋に入れたギルの背にフランシスが尋ねると、ギルは少しだけ疲れたように呟いた。

「……さっき、拾っちまったんだよ」


「……猫ちゃん?」


「いや…人間の、男」






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