ある夜の秘恋の噺 2 この後に及んで、人間じゃないとか。血が甘いとか。 この六畳の空間に座る、俺含む四人中三人が人外とか。 世間って、狭いのな。 *** 俺なりに、推理してみたけど血を舐めたって事は順当にヴァンパイ「吸血鬼じゃないですよカグヤ姫」…なん…だと…! 「他に血を吸う生き物は、蚊とヒルくらいしか知らない…」 「別に吸血生物だと言った覚えはないんですが」 千晶さんが肩をすくめると、こっそりと辰壬さんが真剣な顔で耳打ちしてきた。 「カグヤ様…あのね、チュパカブラ…!」 「チュパカブラ…!?」 神妙な面持ちで頷く辰壬さん。こんなに真剣なんだ、違う訳がない。疑うのも失礼な話だ。 「チュパカブラ呼ばわりの方がよっぽど失礼だと、何故気が付かないんですか姫…!」 千晶さんが、信じられないという表情で首を振る。 辰壬さんは、いつの間にか部屋の隅で体操座りをしていた。 なんて自由な人なんだ…!さすが異国情緒溢れる人…! 「まぁ、僕らが『人外』って事だけ覚えて置いて下さいねー!チュパカブラは除外ですが」 千晶さんは何とか、話の本筋を戻そうとしてくれた。有難う、脱線しがちな俺達の救世主だ千晶さん。 「…人外だと、何かある?」 俺の質問に、千晶さんは。 「そうだねぇ、姫なんてあっという間に食べられちゃうかもね?」 と実に楽しげに答えてくれた。やっぱりこの人は腹黒ってやつなんだ、性悪っていうんだ。ドSだし眼鏡もかけてるから鬼畜なんだ。 「…眼鏡外すと、受け?」 「…一体なんの話だか分かりかねますよ、姫」 心底疲れた様子で、千晶さんはため息をついた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |