素直なアマノジャク【連載中】
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「……、ご注文は、」
「ちいちゃん、足速いね〜。」
「ご注文、」
「風邪引かなかった?」
「……。」
「大丈夫?」
「ご注文をお伺いしたいんですがっ!」
「あ。プリンパフェ。」
「プリンパフェですね。ご注文は以上でよろし、」
「でもね、ちいちゃん。女の子は身体冷やしたらダメなんだよ?」
次の日も、『あおいそら』はあたしがバイトに入る時間にお店に来ていた。
その次の日も。
その次の日も。
「ご注文がお決まりでしたら、」
「キャラメルラテ。」
「キャラメルラテですね。」
「です。」
「ご注文は以上でよろしいですか?」
「ちいちゃんの携帯番号とメアド。」
「少々お待ちください。」
「え!?教えてくれんの?!」
「キャラメルラテ!!!……を、お持ちするのをお待ちください。」
「なんだ〜…。あ、じゃあオレの番号とメアド書いて渡すから送ってきてねっ。」
「結構です。」
「待って待って、今書くから。」
あたしがバイトに入らない日は知らないけど、あたしがバイトに入る日には必ず『あおいそら』がいた。
とはいえ、あたしは『あおいそら』達のお遊びに付き合ってやるほど人間出来てないし、ヒマでもない。
そっちがその気ならこっちにもやりようがある。
そっちがとことん絡んでくるつもりなら、こっちが相手にしなきゃいいだけの話。
そうと決めたら相手にしない。
どんどん絡んでくるといい。
どこまででもスルーしてあげる。
「ちいちゃん。」
『あおいそら』がいつものように人懐っこい笑顔を向けてきても。
「……。」
あたしは、視線を合わせることなくそれをスルーする。
「ちいちゃん。」
「……。」
それを繰り返し。
「ちいちゃん。」
「……。」
繰り返し。
「ちいちゃん。」
「……。」
何度も。
「ちいちゃん。」
「……。」
何日も。
「ちいちゃん。」
「……。」
繰り返して。
「ちいちゃん。」
「……。」
繰り返して。
「…ちいちゃん。」
「……。」
「……。」
「……。」
2週間が経ったある日。
「………オレ…、そんな迷惑…?」
ついに『あおいそら』は眉を垂らして静かに呟いた。
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