【花咲く季節】
14
土橋のおかげでか、敵意の視線はなんとか緩み、生徒会役員が登場すると、一切の興味も関心もそちらにうつっていった。
俺を見た拓兄が少し驚いたようだけど、それ以外は特に何の問題もなく委員会は始まり、進んでいった。
議題は、色々な準備についてや当日の日程、それぞれの仕事についてなどだった。
まぁ、特になんてことはない、普通の委員会だよな。
土橋が言っていたように、俺ら実行委員の仕事はほとんどが雑用だった。
3年生あたりはもうちょっと込み入った仕事があるみたいだけど、1年生は道具の準備とかライン引きとかが主な仕事らしい。
…そのくらいなら、なんとかなるよな。
うん。 ちょっと、ほっとした。
「それでは、今日の委員会はここまでとしますーー」
委員会が終了すると、再びざわめき出した室内とともに、1人また1人と会議室を去って行く。
「どうだ?そんなに難しいことも無かったろ?」
眼鏡の位置を直しながら、土橋が言う。
…そんな姿すら様になるって、羨ましいよな…。
「んー、まぁな。何とかなるだろ」
「ははっ、その意気、その意気!」
そんな会話をしながら席を立ち、教室を出ようとしたところで、聞き慣れた声がかけられた。
「弘希」
「お。拓兄、お疲れー」
振り返った先にあったのは、いつもの微笑みの拓兄で、それを見るとこっちまでつい笑い返してしまう。
拓兄は、アレだな。
癒しっつーより、和み系だな。
「お疲れ様。…まさか弘希がいるとは思わなかったから、少しびっくりしたよ」
「あー…うん。正直、俺が一番びっくりしてるんだけどな?」
拓兄に答えつつ、思わずじとりと土橋に目を向ける。
そうそう。コイツの勢いと口車に乗せられちゃったんだよなー、うっかりと…!
「ん?」
「いやなんでも」
平然とした爽やかスマイルが憎らしいですよっ。
[前へ][次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!