【花咲く季節】 15 「そっか。弘希が手伝ってくれるのは嬉しいけど、あんまり無理はするなよ?」 「なんだよ、拓兄。心配し過ぎっ!大丈夫だって」 「…うん」 そしていつものように、頭をなでられた。 拓兄のコレは嫌じゃないし、実は結構気持ち良かったりもするんだけど…でも。 最近はなんか、必要以上に子供扱いされてるような気もしてしまう。 拓兄が心配性なのは、わりと昔からだけど…俺ってそんなに頼りないかぁ? 「じゃあな、弘希。…気をつけて帰れよ?」 「うん、またな。拓兄」 そうして拓兄とも別れて、教室を後にした。 土橋と並んで、寮への道を歩く。 今日は厄介な2人とは接触せずに済んだし。実行委員とはいえ、雑用仕事ばかりならそうそう役員と関わることもないだろう。 間に、クラス委員が入ってくれてもいるしな。 「…ふぅん。なるほどなぁ」 1人思考を巡らせていた俺の隣で、その委員長の土橋がふいに呟いた。 「ん?何だ?」 「あの、芦原先輩がねぇ…」 「え?拓兄がどうかしたか?」 「…生徒会長になるほど実力も人気も高いわりに、浮いた話のひとつも無いってのはどういうことかと思ってたら…そういうことか」 「へ?」 「いや、何でもない。気にするな」 言って、笑いながら上げた右手が、俺の頭をなでる。 「うわっ。何だよ、いきなり!」 「さて、真っ直ぐ帰ろうか」 俺の疑問に返ってきたのは、相変わらずの爽やかスマイルで。 「だから何なんだよ!?」 「ま、そのうち分かる…かもしれないな?」 「はぁ?」 ますます、こいつのことが分からなくなったんですが。 ホントにいったい、何なんだっつーのっ!? [前へ] [戻る] |