06
「………あたしってわけか」
「……」
「だけど変だ」
不意にシンがそんな事を言い、皆の視線が集中した。
「どうしてクレールが優を捜してるんだ?イザヤが捜してるのならまだ分かるけど、どうして何も知らない筈のクレールが優を捜す必要があるんだよ」
「………」
その質問に答えられる者はいなかった。メイファに至ってはとうとう頭を抱えてしまっている。
「む〜…分からない事ばっかりアル〜…」
「なんか、お宅ら色々とわけありみたいだなぁ」
感慨深げにエドガーが呟いたその時、突如として旋風が巻き起こったかと思うと、断続的な爆音と共に皆の頭上に陰りが落ちた。
なに、と思って顔を上げた優は、ちょうど頭の上に巨大なヘリコプターが滞空しているのを見た。そしてなんとそれは強引に港に着陸しようとしているようだ。
「な、なにアルかぁ!?」
「おいおい、ヘリポートはもっと先だぜ」
「あれって合衆国の機械ですの!?」
「でもあれ旧型だぞ。今時誰があんなんに──」
その時、機体の下に取り付けられている機関銃の標準が、確かに自分達に定められたのを優は見た。
そして次の瞬間、渇いた音と共に一斉に掃射が始まり、足元の地面に被弾して優は悲鳴を上げた。
「な…なになに!?」
「とにかく逃げましょう!」
アナスタシアの声に、皆は弾かれたように大地を蹴った。背後からは未だ銃声が聞こえてくる。
「な…っなんでうちらが襲われなきゃいけないアルか!」
「…とにかく、なるべく人通りの多い地帯は避けろ!無関係な人間に被害が行く!」
「路地に逃げ込みましょう!追ってこれない筈ですわ!」
「路地って言ったって──!」
「まぁ落ち着けって。ここは地元の俺に任せんさい」
ひゅん、と優の横を一陣の風が駆け抜けたかと思うと、目の前で白衣の裾が翻った。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!