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05



「ちょっとな。ついさっき俺の上司んとこに情報が入ってきたみたいでよ、『西洋人と東洋人が入り混じった妙な団体を見かけたらそこから一歩も動かすな』だとさ」

「それ…明らか私達の事ですわね」

「なにそれ!一体誰からヨ!」


声を荒げたメイファに、エドガーは煙草を放すと思い掛けない名を呟いた。


「クレールっつってたな」

「クレール!?」


声を上げたシンに、エドガーの視線が移される。


「嘘つくな!本部が崩壊した時枢機卿は全員本部内にいた!既に全滅が確定しているんだ!預言者クレールだって生きてる筈が──!」

「お前はそいつの死体を見たのか?」


その言葉に、シンは声を詰まらせた。


「…まっ、あんだけ派手に崩壊したら誰だって生存は絶望的だと思うわな」


エドガーは紫煙を吐き出す。


「でも確かに俺んとこの上司は薔薇十字団のクレールだって言ってたぜ。そいつ、お宅らの事捜しまわってるみてぇだけど、まぁうまく言っておいたから安心しな」

「どうして…──」

「んー?知らねぇけど何か用でもあんじゃねぇの?」

「違うよ、そういう事じゃない!何であなた、あたし達を匿うような事…──!」

「ンなの単純な話だよ」


声を荒げた優にもエドガーは一切動じず、笑顔を浮かべた。


「面白そうだったから」

「……はあっ?」

「ってぇのは冗談でー」


素っ頓狂な声を上げた優を前に、エドガーは再び紫煙を吐き出す。


「極端な話、その枢機卿の男がお宅らを捕まえにくるだろ?つー事は薔薇十字団の連中が合衆国に乗り込んでくるっつーわけだ。悪ぃが、あんまこの国に踏み込んでほしくないんでね」

「悪かったな」

「おいおい、誰もお前さんに言ってねぇだろ」

「俺に対して言われたも同然だ」

「自分と薔薇十字団は常に共に在るって?随分立派な心構えだなぁ」

「それが俺達の信条だ」

「そーかいそーかい」


適当に聞き流した事に対してシンの眉間に皺が刻まれたが、エドガーはそ知らぬ振りだ。


「まっ、気ぃ付けろよ。恐らくあの旅客船の乗客名簿もチェックされてんだろうな。奴らが来るのも時間の問題だぜ」

「だけど、どうしてうちらを捜してるアルか?」

「あくまで憶測だけど…捜しているのは私達ではありませんわ」


アナスタシアのちらりとした視線に、優は息をついた。


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あきゅろす。
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