07(終)
「こっち曲がったら完全に路地だ。ワシントンは完全な高層ビル街だからそう簡単に追ってこれない筈だぜ」
エドガーの先導で優達は入り組んだ路地を駆け巡る。
やがて、ヘリコプターの爆音は遠ざかり、優は壁に背を預けて安堵の息をついた。
「い、意味わかんない…なんで急に銃撃なんだよ…!」
「……お宅らさぁ、マジな話なにやったわけ?」
「そんなの、私が聞きたいくらいですわ!」
「とにかく安全な場所に──!」
その時、またあのヘリコプター独特の爆音が聞こえてきてシンの声は呑み込まれた。
ビルに阻まれた狭い空をヘリコプターの機体が覆い尽くす。
「…っマジ!?」
「おいおい、無茶すんなぁ操縦士」
「うち、わけのわからないまま死にたくないアルー!」
「仕方ねぇなぁ」
吸おうとしていた煙草を収め、エドガーは白衣を脱いで軽装になると袖を捲った。その際、片腕にだけ幾重にも巻かれた包帯が優の目に止まったが、エドガーは気付いた素振りはなかった。
「俺んちでよければ匿うぜ?車取りに戻ると危ねぇから走る事になるがそこなら大丈夫だろ。さすがに民家まで襲撃出来ねぇ筈だし。一キロ二キロあるけど構わねぇよな」
「多分大丈夫アル!」
「…あ、あたしも頑張る!」
「そっちの二人も問題ねぇかー?」
「私は構いませんわ!」
「…っ早く案内しろ!」
「よっしゃ。着いてきなー」
言い残して大地を蹴ったエドガーを、優達は必死に追い掛けた。
to be continued...
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