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短編集・読み切り



「それで、なんでオレでそれを試そうとす

 るわけ?

 自分でやってみて気持ち良くなかったん

 でしょ?」

「俺はそうだったけど岡本は気持ち良さそ

 うだったからさ…。

 ホント、あともうちょっとで岡本もイッ

 たと思うんだよね。

 あの、負け惜しみじゃなくてさ。

 あの時、岡本の中ものすごい締め付けだ

 ったから」


 だからオレを変態な岡本と一緒にすんな

っての。

 真面目に一発くらい本気で殴りたくなっ

てくる。


「そんなに岡本がイイんなら、岡本を口説

 けば?

 土下座でもなんでもして高取が許せば、

 突っ込むくらいは許してくれるかもよ」


 そのまま島崎を見ていたら睨んでしまい

そうでプイと横を向く。

 さっきから岡本、岡本ってどれだけ繰り

返せば気が済むのか。

 言われる度に岡本と比べて劣っていると

言われているようで、腹の底から黒い感情

が湧き上がってくる。

 今、目の前にいるのが誰なのか、それす

らも解っていないのか。


「岡本は確かに気持ちよかったけどさ、そ

 ういうんじゃないんだよね。

 岡本は岡本で、ミツはミツで。

 最近はミツのことばっかり考えてるって

 のは本当なんだ」


 …そんな小手先の言葉にぬか喜びなんて

してやらない。

 岡本という性欲の捌け口を失ってその代

用品としての役割を誰かに求めたとして、

それがオレだったっていうオチだって十分

に考えられるのだから。

 それはきっとオレが何よりも嫌な答えな

のだ。


「俺って頭良くないからさ、上手くは言え

 ないんだけど。

 岡本がいなければ俺達はこんな関係には

 ならなかったと思う。

 そういう意味で完全に岡本を排除して考

 えるのは難しくて」


 島崎はもどかしそうにしながら一生懸命

に言葉の先を紡ぐ。

 普段はあまり使ってなさそうな脳みそを

フル回転させて自分の思っていることを言

葉にしようとしている。

 だからオレは途中で口を挟みたくなった

けどぐっと堪えた。


「だけど今俺の目の前にいるのはミツで、

 俺はミツを岡本の代わりにしようとなん

 てしてない。

 むしろ逆っていうか…。

 岡本が感じてたのと同じ方法でミツを気

 持ちよくさせてあげられないのかなって。

 もちろんミツが変態だなんて思ってない

 し、俺自身がそもそも無理だったから無

 理強いはしないけど…さ」


 “試すだけ試してみるとか…ダメ?”と

子犬のような上目遣いで尋ねてくる。

 でもその鼻をむんずと掴んでやりたい心

境だ。


「オレを気持ちよくしたいって言うならフ

 ェラだけで十分じゃん。

 なんでお前の好奇心を満たす為にオレが

 お前にケツの穴を弄られなきゃなんない

 わけ?」


 つまりはそういうことだろう。

 オレを気持ち良くしたいだけなら別にケ

ツなんて弄る必要はない。

 オレだって男だから擦れば勃つし、フェ

ラだって下手でなければ気持ちよく感じる。

 そこにさらに何かを加えなくたってイク

だけならイけるのだ。

 オレの問いに島崎は何かを考えるように

ぐっと押し黙る。

 だがそれも間もなく諦めたような溜息と

共に吐き出された。


「それは…その…言っても怒らない?」

「内容による」


 もじもじし始めた島崎に若干イライラし

ながら、さっさと言えと視線で促す。

 島崎はオレの苛立ちを察知したのか怯え

たように眉を下げたけど、やがて観念した

ように口を開いた。


「もし…さ、ミツの性感帯がケツの奥にも

 あったらさ、一緒に気持ちよくなれるか

 なって。

 俺は無理だったけど、あれって個人差あ

 るらしくてさ。

 モチロンその為の準備もいろいろ必要だ

 し、俺のテクニックも磨かなきゃならな

 いんだけどさ…。

 手や口で抜きっこするのも確かに気持ち

 いいんだけど、それとはまた別でミツが

 それで気持ちよくなれるならそうしたい

 なぁって。

 ミツの負担は最小限にするし、ミツが本

 気でどうしても嫌だって言うなら諦める

 けどさ…」


 …そんなこと、バカ島崎が考えるよりず

っと前から考えていた。

 俺達が岡本を介さずに触れ合うずっと前

から。

 岡本を介してではなく、俺自身が島崎の

快楽を引き出せたらどれだけいいだろう、

と。

 だけど。


「無理だったらどうすんの?」

「どうしても弄られるのは嫌ってこと?」

「そうじゃなくて。

 オレの意志がどうこうじゃなくて、オレ

 も島崎と同じでケツの中弄られて感じな

 かったら、お前は他を探すの?」


 “岡本の代わりを”

 喉元まで出かけた言葉を呑み込む。

 それはおそらく、島崎のチ●コをケツに

突っ込まれるのと同じくらい恐れているこ

と。





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