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短編集・読み切り




 即座に拒否して睨むオレを島崎は少し困

ったような目で見つめてきた。


「ミツ…今どんな目をしてるか、自覚ない

 でしょ?」

「これはっ、島崎が弄るからっ」

「俺はここしか弄ってないよ?」


 どうしても誤魔化したくて無理矢理に理

由をこじつけようとしたけど、島崎の指先

が乳首をつつくと下手な言い訳は喉の奥に

引っ込んだ。

 動揺したまま下手なことを口走ると自分

で自分の首を絞めてしまいそうだ。

 島崎は救いようがないレベルで鈍感な癖

に、時々驚くほど鋭かったりするから。


 バカ島崎のくせにっ


 悔しくて心の中で悪態をつくけど、島崎

の手の中に握られている熱は誤魔化せない。

 一方で足の裏に触れている島崎のチ●ポ

はオレの不安を煽るように上向く先端でオ

レに自己主張しているのだ。


 でも、無理だし。

 あんなの突っ込まれたら裂けるし。

 そもそも男にチ●ポ突っ込まれて喜ぶよ

うな、岡本みたいな変態じゃないし。


 いくら相手が島崎だって、あり得ない。

 先っぽだけだなんて信用出来ない。

 だって島崎はチ●ポ脳だ。


「夏休みの間、オレの言うこと聞くって言

 ったよね?」

「え…」

「言ったよね?」

「え〜〜っ、今それ言う?」


 このままだとアホ島崎に流されてしまい

そうで、ここぞとばかりに切り札を使う。

 島崎の方はというと、目の前の餌をあげ

ないと飼い主に意地悪された犬みたいにし

ょげて不満げに眉尻を下げる。

 ムードぶち壊しだとでも言いたいんだろ

うけど、このまま流されて物理に被害を被

るのはこっちだ。

 そんなこと、なんでオレが承諾しないと

いけないのか。


「ケツに指突っ込まれて勘弁してくれって

 泣いたのは誰だっけ?」

「泣いてはない、けど…」

「それでなんで同じことをしてオレが喜ぶ

 と思うわけ?」

「だって岡本はあんな気持ち良さそうだっ

 たし…」

「筋金入りの変態ドMと一緒にすんなっ」


 不満げな上目遣いの島崎の頭をペシッと

軽く叩く。

 ケツに指を突っ込まれたことがあるくせ

に、それでいて許してくれと懇願したこと

もあるくせに、なんでオレに同じことをし

たいのか理解に苦しむ。

 しかもオレを説得するためにあろうこと

か岡本を引き合いに出してくるとか、どう

かしてるとしか思えない。

 そんなに突っ込みたいなら、ちくわでも

買ってきてそれに好きなだけ指を突っ込め

ばいいと思う。

 チ●コ脳め。


「い、いやいやいや。

 さすがに岡本までいくと特殊だと思うけ

 どさ…。

 でも…ちょっとだけさ、試してみない?

 指だけでもいいから。

 先っぽだけでいいからさ。

 俺は確かに経験ないし、テクニックなん

 てないけど…岡本が気持ちよさそうだっ

 たところを」

「そういうことは、あのローションのボト

 ルをケツに突っ込んで平気になってから

 言えよ」


 あまりにもくどくどと言葉を重ねる島崎

が何を言おうとしてるのか悟った瞬間、オ

レは島崎の言葉を遮っていた。

 岡本が気持ち良さそうにしていたケツの

奥のあのコリコリとした場所を指で弄らせ

てくれと、そう言いたいのだろう。

 岡本はあそこを擦られるだけでビクビク

と腰を震わせ、オレの指を切なげに締め付

けていた。

 だけど俺は岡本のような変態じゃない。

 島崎の気持ちよさそうな顔をオカズに抜

いたりはしても、決して島崎に突っ込まれ

る妄想をして抜いているわけではない。

 確かに同性との経験からない奴からした

らそれだけでおかしな性癖なのかもしれな

いけど、そこにはものすごく隔たりが存在

する。


「アレは無理だけどさ…。

 指、一本だけだから。

 先っぽでちょっと弄らせてくれるだけで

 いいからさ。ね?」

「くどいよ、バカ」


 苦い顔をして無理だと言いながら、それ

でも諦め悪く食い下がってくる。

 どれだけヤリたい盛りのアホなんだろう。

 これが島崎でなければグーで殴ってやる

のに。

 …いや、そもそも相手が島崎でなきゃ抜

きっこすらしようとは思わないけど。


「そんなに試したいなら、まず自分のケツ

 に指突っ込んでみたら?」

「それはもうした。

 ミツだってしたことあるでしょ」


 …したんだ、自分で。

 確かにあの時はムカついてたのと好奇心

とで島崎のケツに指を突っ込んでみたりも

したけど。

 でもまさか、島崎本人が自分で試してい

たとは思わなかった。

 あまりにも岡本が気持ち良さそうだった

から好奇心でしてみた、とか?


「あの…岡本をイカせてあげようとしてた

 時に自分で試してみただけだから。

 全然気持ちよくなかったけどさ」


 オレの物言いたげな視線に気づいたのか

島崎は誤解だとでも言いたいように弁明し

てくる。

 しかもそういう結果でよく岡本をイカせ

られると思えたものだ。

 …いや、だからこそ媚薬入りのローショ

ンなんて用意したのだろうか?





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あきゅろす。
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