悪魔も喘ぐ夜 * とにかく確かめてみないと解らないな。 「えぇっと…誰? そこ、新名の席じゃなかったっけ?」 「桐生…?」 加我に“何言ってるんだ?”という目で 見られた。 他のクラスメートにも“寝ぼけてる?” と言われてしまう。 …どうなってる? おかしいのって、やっぱり俺?! 「あははははっ。 朝からボケかますなんて駆もやるなぁ。 思わず笑ってもーたわ」 一度聞いたら忘れられないような変なイ ントネーションの方言で笑う青年は、その ままの笑顔で俺を真っ直ぐ見つめてきた。 「まさかほんまに従兄弟の顔を忘れたなん て言わへんやろ?」 「従兄弟っ…?」 従兄弟なんて会ったことはない。 というか、母さんのほうの親戚には誰一 人会ったことはない。 イギリスで遠いから…とずっと聞かされ てきたが、本当は人とは違うからだったの だろうと思う。 母さんのってことなら…淫魔? でも会ったことはないはずだ。 これが初対面。 なのに、何故そんなことを言うのか。 そもそもクラスメートがなんでこんな反 応をする? [*前][次#] |