悪魔も喘ぐ夜
*
…こんなことってあるんだろうか?
月曜日、いつものように教室に登校して
きて俺は自分の目を疑った。
知らない生徒がいる。
しかも自分の隣の席に、当たり前みたい
な顔をして陣取っている。
「おはよう、桐生。
…どうした?そんな顔して」
加我に心配されてしまった。
「い、いや…」
「おっ、駆! おはようさん。
朝からそないな顔すなや。
せっかくの朝が台なしやで?」
そう言って明るく笑う。
明るいブラウンの髪を掻き上げるグレー
の瞳の青年のことなんて俺は知らない。
知らないのに、何故名乗りもしていない
俺の名前を知ってるんだろう。
それなのに加我や他のクラスメートの態
度がおかしい。
まるでこの青年がいるのが当たり前みた
いな顔で和やかに話をしている。
…俺がおかしいのか?
いや、さすがに1ヶ月以上このクラスで
学んでいて隣の席の奴の顔を間違えるはず
はない。
このどこからどう見ても外国人の顔立ち
をした青年のインパクトは強い。
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