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君も詐欺師。

アカリ役の声優、その名前はtsuki.という。最近アニメで活躍している声優だ。
俺は一年前、たまたまテレビで彼女の声を聴いてからずっとファンをしている。

だからアニメや他の声優の知識はあまり無い。わかる範囲で言えば、tsuki.の人気はそれほどではないようだ。
その理由として、アカリなどの子供向けアニメに重きを置いていることや、顔出ししていないことが挙げられる。

『とんでもないブスだから顔出しNGなんだろ?』

なんていう声もあるみたいだが、俺はtsuki.は可愛いと信じているし、少し残念な顔立ちだって嫌わない覚悟をしてる。
なんせtsuki.の魅力はあの声なのだから!!

『あまり知られてないけど、tsuki.は隠れ実力派。声に色気があるから、エロゲとか出れば即売れるだろうに』

こんな声もある。そう、tsuki.の声はなんとなくエロい。アダルトものにはあまり出てほしくないが、tsuki.のエロい声を聴けたら俺は死んでもいいと思っている。
いや、こんなヨコシマな妄想、tsuki.に失礼だけど…

とにかく「王子」なんて呼ばれようが、俺の青春はtsuki.に捧げることになるんだと思っていた。
そして、この想いは誰にもわかってもらえないと、ずっと思っていたのである。

「千川ー、お呼びだし」

「……誰が?」

そんなある日のこと、昼休みクラスメイトに話しかけられた。

「んーなんか知らん男。後輩っぽい」

「千川って男にもモテんの?」

「うわぁそれはキツいなー大丈夫か?千川ぁ」

クラスの男共が心配そうに声をかけてくる。俺はとりあえず廊下に出た。
すると、小柄で地味な眼鏡の男が立っていた。

「……誰だ?お前」

「あの、あの……あああのっ、僕はあの…」

何回『あの』を言うんだ、コイツは…
なんて思っていたら、自己紹介を聞き逃した。まぁいいか…

「何の用?」

「あの……昨日は、ありがとうございましたっ」

「昨日?」

「ホラ、転んだところを助けてもらった…」

そう言われて合点がいった。昨日の放課後、校門で派手に転んだあの男だ。
そういや眼鏡だったな…

「別に、わざわざ礼なんて言わなくていい」

「……そうなんですけど……どうしても、お礼したくて…」

面倒な表情をされた。男から好意を持たれるのは初めてではないけど、どうも女より扱いにくい。

「あの、千川先輩、あのメアドを…」

「そういうの、めんどくせぇから」

男の表情に絶望の色が浮かんだ。
悪いけど、変に思わせ振りな態度をとる方が残酷だ。

俺はそのまま教室に戻った。
恋愛なんて、いつかできる日が来るんだろうか。
tsuki.みたいな女の子に、いつか出逢えたら…

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あきゅろす。
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