「愛愛、愛愛、おサルさんだよぅ」【愛欲市】@

 海上に架けられた長い架橋を走る蒸気機関車の客車で、破華姉ぇが次の目的地についてガイドブックを片手に説明する。
「次の目的地は、離島にある『愛欲市』……普通の市だから、島には特に観光らしいモノもなく漁業と林業が主な産業の島。宿泊施設も無い……島にある高校に古い知り合いがいるから、頼んで校庭にでも貸しテントを張らしてもらうから」
「そうですか、極々普通の島ですか」
「そう、普通の面白味もない島」
 破華姉ぇは手の平の上で、黒球を転がし遊びながら、水平線を眺めた。

 やがて蒸気機関車は島の『愛欲市駅』に到着して、軍医タコ一行は客車から降りる。
 駅前の現代風な商店街を眺め、軍医タコが言った。
「本当に普通のどこにでもある商店街ですね……寂れているでもなく、栄えているでもなく」
 自動販売機で買った炭酸飲料缶のブルトップを開けて、マイストローを性器穴に差して開脚のしゃがみポーズで炭酸飲料を飲みながら、破華姉ぇが言った。
「この愛欲市は、古代文明の王国首都があった場所でね、今も島には遺跡が残っている……実はある呪いが島には続いているんだ、だからその遺跡は島民が祟りを恐れて観光化はできない」
「どんな呪いですか?」
「それはおいおい、説明するから……とりあえず、どこにでも店舗進出している、駅前のファストフード店かコンビニで食べ物を購入しよう……腹が減ってはエッチができぬだからね」
 秋が言った。
「自分は遠慮する、裸族人類に食事は不要だから……用事があるまで島上空の成層圏で待機している、尻目花火でも打ち上げて呼び出してくれ」

 秋に続いて、長い鼻を擦りながら天狗裸女が言った。
「儂も別行動を希望じゃ、その遺跡とやらに興味がある……儂が遺跡に近づいても大丈夫じゃろか?」
 炭酸飲料を開脚座りで飲み終わった、破華姉ぇが立ち上がる。
「裸女と裸族人類は呪いの対象外だと言われているから……大丈夫なんじゃない。それじゃあ、しばらく二人は別行動で、島に一つだけある高校の校庭で合流というコトで」

 こうして、秋と天狗裸女は軍医タコたちと別行動をとることになった。
 コンビニで買い物をして高校へ向かっていた一行は交番の前を通りかかった時に、交番の外で人目も気にせずに、女性警察官と男子高校生が抱擁してキスをしている場面に出くわした。

 男子高校生の背中に両腕を回した、女性警察官は熱いキスを続ける。
「んッ……んッ、○○君、好きだよ……んッ」
 交番の前を通り過ぎてから尻目が、小声で破華姉ぇに訊ねる。
「今のいいんですか? 警察官と高校生が白昼堂々と」
「いいのよ、この島では……役職と年齢に関係なく愛し会っていれば問題ない。警察官と高校生、医師と高校生。教諭と高校生、聖職者と高校生。政治職と高校生がつき合いセックスするコトは許されている……ただ、セックスする時に愛を持って接しているコトが大前提だけれど……この島【愛裸武島】では純粋な愛がすべて、愛が無い偽りのセックスをすると大変なコトになる
 軍医タコが訊ねる。
「もしかして、その大変なコトが呪いですか?」
 破華姉ぇは、軍医タコの質問には答えず、ただ意味ありな笑みを浮かべるだけだった。


 商店街を過ぎて、住宅地に入った一行は駐車場に停まっている、運転手付きの高級黒塗り外車の後部座席でカーセックスをしている。
 政治家っぽい恰幅がいい男性と、制服姿の女子高校生を発見した。
「あぁん、あぁん……政治家の先生、大好き……愛している……あぁん」
 男の下で喘ぐ女子高校生、漆黒の外車が上下にギシッギシッ揺れている。
 破華姉ぇは、親指と人差し指の間にピンク色のローズクォーツに似た結晶を作り出すと、結晶を通して高級外車の男女を覗いた。
「あ〜ぁ、ありゃダメだ……女の方は本気だけれど、男の方は遊びだ、愛が無いセックス相手には呪いが発動する

 突然、恰幅がいい政治家男性の鼻がブタ鼻に変化する。
「ブヒッ!?」
 耳がブタ耳に変わり尻尾が生え。
 手と足が豚足に変わった時、政治家男性はやっと腰の動きをやめて、変貌した両手を見てブタの鳴き声で悲鳴を発する。
「ブヒィィ! ブヒィィ!」



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あきゅろす。
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