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涼宮ナツキの憂鬱
第六十五話
美春の家からはいいにおいが漂っていた。俺はすきっ腹のお腹をさすりながらインターホンを押した。

「はーい、開いてるよ」

朝比奈先生の声を聞き、俺は玄関を開けた。

「お邪魔します」

「はーい!ごめん今手がはなせないの」

朝比奈先生……いやみくるさんの声がキッチンから聞こえた。

「お構い無く。俺がお世話になるんですから」

「ごめんね。美春ちゃんとこでくつろいでて」

「はい、そうしますね」

言ってなかったが、この家は朝比奈先生ことみくるさんと美春の二人暮らしだ。詳しいことは全然知らないがこの部分には俺は触れないことにしている。確かに気になるが、プライバシーってもんもあるしな。

俺は美春の部屋の前でノックをした。以前は関係なくドアを開けていたのだが、ある時たまたま着替をのぞいてしまいそれからはノックをすることが習慣になった。

「お姉ちゃん?開いてるよ」

「うーっす」

さっきまで俺のチャリに乗っていた美春とは違い、いつもの美春がそこにいた。

「なんでキョウくんがここにいるの?」

「晩御飯をご馳走になりにな」

そういうと美春は驚いて椅子から落ちた。

「あいたたた」

「ったく、お前は小さい頃から変わんねぇな」

俺は手を差しのべて美春を起こした。

「ふぇっ、ちょっとキョウくん?」

「ここ、こぶになってるぞ」

「き、キョウくん、か、顔が近い」

真っ赤な顔をした美春が上目使いで俺を見ていた。

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