episode1-06
「あ、ナルト。」
言うだけ言って、早々に事務所へと向かうナルトを呼び止める。
「なんだってば?」
早く上がりたいのだろう、足を止めたナルトは少し不機嫌そうにこちらを振り向く。
「明日オマエ休みね。」
「は?今週の休みは日曜日にしてって言った筈だってばよ?」
自分の希望した休みを他の日に勝手に変更させられたと思ったナルトは、更に不機嫌になる。
「わかってる、ちゃんと日曜日も休み。」
「は?意味わかんねェ。」
「お前、先週休日出勤してくれたでしょ?だからその代わりに明日休みにしてあげようかな、って思ったんだけど?」
"いらないの?"と首を傾げれば、ナルトの顔は見る見るうちに笑顔になっていきこちらに駆け寄ってきた。
「マジ!?店長大好きだってば!!」
喜びのあまり抱きつくナルト。
「あのー、ナルトさん?ここレジなんですけど。」
店内を見回すと、さっきまで立ち読みしていた客はいつの間にかいなくなっていて、俺とナルトの二人だけ。
抱きつかれたことに不思議と不快感はないものの
俺より華奢だとは言え、対して体格の変わらない男に抱きつかれてるこんな状況を誰にも(サクラは見てるかもしれないが…)見られなくてよかった、と安堵する。
「あ、悪ぃー!嬉しすぎてツイ抱きついちゃったってば!」
首に回していた腕を解き、俺の正面に立ったナルトは人差し指を鼻の頭に乗せてニシシと悪戯に笑ってみせた。
(さっきまでは、あんな不機嫌な顔してたのにねぇ。)
こんな笑顔を見せられれば、さっきの言いたい放題も許せてしまうから不思議なものだ。
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