篠田学園-1部-
2
「随分と仲がいいようだな、狩島秀先輩、篠田馨夜」
不意に背後から聞き覚えのある声が掛かり、俺は青ざめる。
「……あ〜、天埜会長…
旅行中、よろしく」
そんな俺の顔を見てか、秀は俺の手を外し、凄みを効かせた表情で蓮を威嚇した。
しかし、それに応じる蓮の表情も口調とは違い随分なもので、思わず萎縮する。
「本当に仲がいいみたいで……どこで知り合いに?」
「会長には関係ねぇなぁ…
てか、先輩に対してその顔かぁ?
なってねぇなぁ…会長?」
クツクツと笑いながら蓮を睨む秀は、それはもう悪魔の様で……
「…だんだんクリスに似てきたな」
ほんともう、そんな感じ。
今だけだけどね。
いつもはすっごいへたれだから。
「あぁ、クリス元気か?」
「元気元気〜
てか、文化祭来てたよ?」
「んで教えてくれねぇん!?
つかそもそも、この学校来たなら俺に言えよ」
そうそう、こいつ狩島秀はクリスの遠い親戚らしい。
ほんのちょっとでもクリスの血が混じってるなんて、恐ろしいよ。
「早くしねぇと置いてかれんぞ」
俺と秀にいらついたのか何なのか、凄く不機嫌面の蓮が俺を睨んできた。
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