篠田学園-1部- 孤独 馨夜Side 「たっだいま〜」 部屋の鍵を開け、上機嫌に発した俺の声は数日振りの部屋に響き渡った。 あれから有紫と慶輔と一緒に部屋まで帰ってきて、各々の部屋の前で別れたのだ。 懐かしい我が家?にほっと一息つくのと同時に、久々の孤独感に襲われた。 旅行に行く前までは部屋に誰か一緒にいることは滅多になかった。 まぁ、たまに遊びにきた奴とか以外は。 でも旅行中はどうだろうか。 常に秀や蓮、そして皆がいた。 4泊5日の全校旅行は、不必要なまでに俺の孤独感を薙ぎ払ったらしい。 あぁ、なんか今バーナードでもいいから人間に会いたい。 心底そう思ってる自分に悲しくなった。 「あ、会長…」 不意に蓮の顔を思い出す。 そう言えば呼び出されていたのだった。 「あ〜あ、行かなきゃだ」 小さく呟きながらも無意識に口許が緩んでいる自分に苦笑した。 れんの事が好きな訳ではないが、楽しみにしている自分がいる。 俺は少し大袈裟にため息を一つつくと、手早く私服に着替えエレベーターへと向かった。 「全部…だっ……」 「消え……んだ」 微かに聞こえた聞き覚えのある声に思わず眉間に皺を寄せた。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |