篠田学園-1部-
5
「よかったね蓮、あっちから逃げてくれたよ?」
茫然と立ち尽くす俺に、志村は背中から腕を回して抱き着いてきた。
「どけ」
「ショック?自分から切りたかった?」
クスクスと笑う志村に対して今までにないほど殺害願望が膨らむ。
が、それと同時に足元に転がる携帯電話に目がいった。
「馨夜のか…?」
「わ、それきっと篠田が次会う時の口実に落としてったんだよ
最悪、ねぇ蓮…僕が届けてあげるから貸して?」
上目遣いで瞳を潤ませて見上げてくる志村に、嫌悪感がこみあげてくる。
こんな奴の所為で馨夜を傷付けてたまるかっつの。
「お前の言ってる事迷惑、勘違いも程々にしとけ。つかどけよ、俺これから馨夜追いかけなきゃなんねぇし」
「え……?」
“何で?”と目を見開く志村を退かし、俺は馨夜が去ったであろう方向へと足を向けた。
勿論全力疾走。
背後で何やら言葉を発している志村は無視。
今は馨夜の誤解を解きたい。
そう思うと、俺の足は無意識に速まっていた。
蓮Side...END
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