篠田学園-1部-
2
「それに篠田の養子ってのも変でしょ、篠田は血に外人を許さないっ…蓮、気付いてよ」
「…れ」
「蓮、篠田なんかと関わっちゃ駄…」
小さな男子生徒が蓮の肩に手を掛けて諭すように呟いた。
“関わっちゃ駄目”
小さく呟かれた筈なのに、嫌に響いた一言。
俺に関わると不幸になる。
産まなければよかった。
男子生徒の姿が、何故か実母と重なった。
不意にこちらを向いた蓮と目が合った気がしたが、そんなの気にしてられない。
俺は無意識に走り出していた。
ドンッ
「え、篠田……?」
廊下をただひたすらに走っていたら大きな壁にぶつかった。
見上げるとそこには目を見開き驚いた様子の東の姿。
「あ、ずま…」
「おい、どうしたんだよ」
東の驚いた顔を見た瞬間、歪んだ視界に俺は自分が情けなくなった。
「俺、いらなっ…」
「落ち着けって」
涙がどんどん溢れ出てくる瞳に、内心動揺していた。
ここまでショックなのは何故?
「馨夜!!!!」
ぎゅっと東に抱きしめられた瞬間、背後から蓮の声が聞こえた。
「馨夜、悪かった…その、志村が…」
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