篠田学園-1部-
4
「そんな冷たいこと言わないでよ、蓮と僕の仲じゃない」
ニッコリと笑みを貼付けて俺の腕に自分のそれを絡める志村に、俺は小さく舌打ちした。
「それに、僕は部外者じゃないでしょ?」
“部外者は篠田馨夜の方”
相変わらず上機嫌な志村に俺の機嫌は降下し続ける。
「“馨夜”は俺が呼んだ、“志村”…お前は呼んでない」
「っ……」
わざと名前を強調して言ってやると、流石の志村も気付いたらしく、息を詰めた。
「なんであんな奴っ…篠田グループを使って脅してきたの?
じゃなきゃ蓮が僕を選ばない理由なんて……っ」
ドカッ
「消えろ」
必死に俺の腕を掴む志村を振り払い、俺は壁に思い切り拳を減り込ませた。
「こんなの僕の蓮じゃないっ…全部、全部篠田の所為だっ……」
「消えろって言ったんだ」
「それに篠田の養子ってのも変でしょ、篠田は血に外人を許さないっ…蓮、気付いてよ」
「黙れ」
「蓮、篠田なんかと関わっちゃ駄…」
カタンッ
志村が俺の肩に手を掛けて必死な形相で言い迫ってきた時、俺は視界の端に黒髪を確認した。
「きょ、や……」
「え?」
名前を呟いた時にはもう遅く、志村を退かして馨夜がいた場所へ走っても、そこにはもう何もいなかった。
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