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「早く歩かないと遅刻するぞ。」

「心底面倒なの…学校なんて。今更だって絶対。」


学校が面倒なのは、本当。
でも今はそれ以外のこともすごくすごく面倒だ。

周りの、目が。



結城に引かれるようにして廊下に出たところまではよかったのだ。
だって周りには結城しかいなくて。

でも廊下に出た瞬間、周りからすごい視線を感じ続けてる。


自分が目立ってしまうのは十分わかってる。
この髪と瞳だしね。
でもこれほどだとは思わなかった。不愉快以外の何者でもない。



ひそひそと微妙な声量で交わされる会話に、余計に不快感が増す。

(全部聞こえてんだよ。イラつく。)


奴らに何を言われようが別にいい。
だってそんなの俺には関係ないし、気にすることなんてない。



でもいかにも興味深々です、みたいにされるのは非常に困る。


(あれかな、誰かのこと半殺しにでもしたら誰も近寄らないかな。)

そんな物騒なことを考えてみる。
この学校にいるやつらはみんな、たとえ由奈みたいにどんなに可愛らしくても男なのだ。

女じゃない。



まあそれでも、表の人間に理由もなく手を出すのは後々面倒だからやめておこう。

また雅に怒られて嫌な任務やらされたら堪ったもんじゃない。



「あーあ、面倒だな…」

それでもやっぱり、面倒じゃなくなったかといえば、そんなわけもないのだが。





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