4649 7 「早く歩かないと遅刻するぞ。」 「心底面倒なの…学校なんて。今更だって絶対。」 学校が面倒なのは、本当。 でも今はそれ以外のこともすごくすごく面倒だ。 周りの、目が。 結城に引かれるようにして廊下に出たところまではよかったのだ。 だって周りには結城しかいなくて。 でも廊下に出た瞬間、周りからすごい視線を感じ続けてる。 自分が目立ってしまうのは十分わかってる。 この髪と瞳だしね。 でもこれほどだとは思わなかった。不愉快以外の何者でもない。 ひそひそと微妙な声量で交わされる会話に、余計に不快感が増す。 (全部聞こえてんだよ。イラつく。) 奴らに何を言われようが別にいい。 だってそんなの俺には関係ないし、気にすることなんてない。 でもいかにも興味深々です、みたいにされるのは非常に困る。 (あれかな、誰かのこと半殺しにでもしたら誰も近寄らないかな。) そんな物騒なことを考えてみる。 この学校にいるやつらはみんな、たとえ由奈みたいにどんなに可愛らしくても男なのだ。 女じゃない。 まあそれでも、表の人間に理由もなく手を出すのは後々面倒だからやめておこう。 また雅に怒られて嫌な任務やらされたら堪ったもんじゃない。 「あーあ、面倒だな…」 それでもやっぱり、面倒じゃなくなったかといえば、そんなわけもないのだが。 [*前へ][次へ#] [戻る] |