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「あ、俺、教員室行かなくちゃいけないから。」

「おう、じゃ先行くな。」

結城が手を挙げたので挙げ返すと微笑まれた。
意味がわからないけれど、これで正しかったのだろう。


俺は高校からの外部生だから、初めてクラスに入るときに、担任からの紹介があるらしい。

そのせいで、担任のところに行って、それからクラスに行く。


もうクラスはわかっているし、そんな面倒なことをする必要がどこにあるのか、俺にはよくわからない。

紹介されてもわかるのはせいぜい名前くらいだろう。
俺だってそれ以上のことを知ってほしいとは思わない。


それとも、一番初めに、関わらないでとでも言えと?


そんなの言ったところで興味を持つやつは持つだろうけど。
だったら態度で示すほうが楽だ。




「失礼します。」

一応きちんと挨拶をしてから入る。

俺は非常識だけど、それが発揮されるのはそれをするのに見合った場面だけ。
常識を持ち合わせてないわけじゃない。

入った瞬間に、沢山の視線がしかも一斉にこちらに向く。


ほんの一瞬。
沈黙が流れる。

誰も言葉が出せなかった。



それに叶多が少し眉をひそめた瞬間。


「藤原叶多で、間違いないな?」

奥の列に座っていた一人の男が立ち上がる。


椅子のきしむ音はしなかったけれど、代わりに、叶多の声が響いた。


「…はい。」


(何なんだ、この学園のやつら。)

イカれてるのは、どうやら俺達だけじゃないらしい。




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