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幻滅デイリー
思案先生
 ニンゲンシッキャク 番外編。

 前川進も勿論、教育実習生だった。先生が、先生じゃなかった頃の話。



 男と女というのは、やはり全然違う生き物らしい。いくら平等平等と言っても、体の作りが元々違うのだから平等も何も無いと昔から前川は考えていた。

 前川は言う。
「はい、じゃあ教科書にそって漢字を読んでみようか。はい、解る人」

【問】この漢字の読みを現代仮名遣いで、書きなさい。
@乳房[       ]

 勿論、読み方は二通りある。しかし、教科書に沿えば[にゅうぼう]が正解である。その際、男子はどうしてもふざけたくなってしまうらしい。当然、個人で差は生ずるものである。しかし、何度訊こうと読めるはずなのに「ちくび」と答える。

 一方、女子はそれを冷ややかに見つめ、尚且つ心の中で嘲笑っている様だった。質問し、指名をすれば正解を答えるのである。

「ぼくの頃も、ああだったかなァ……。いや、違うはずだ」

 という事は、確実に学力が下がっているという事か。むしろ、純粋なのか? それとも、子供っぽいのか?

「時代が変わった、って事なのかなァ……」
前川は夕陽を見ながら、穏やかに笑った。

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