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幻滅デイリー
吉利支丹話
 銀細工の輝きが、男を魅せた。
「吉利支丹か」
男は、閨で言った。女は重そうに、体を起こす。障子の影が、二つになった。
「くるす、と言うそうです旦那様」
「ああ、わしも聞いた事はある」
銀で装飾のされた、くるすを手に取る。くるすは明かりに照らされ、光っては反射した。
「確か、唯一信仰だと聞く」
「よく、御存知で」
続いて、女は寝着や髪を整える。
「解りやすくて、良い。どうも、その点では日本はいかん」
「まあ、旦那様……」
男は蝋燭の明かりで、くるすを透かす様に見る。
「俺の唯一が、お前である様にな」
「冒涜です、旦那様」
「構わん。わしの唯一神は、お前だからな」

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あきゅろす。
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