幻滅デイリー 文法モンダイ? 「どこに行きたい?」 旅行のパンフレットを広げ、にっこりと笑う典型的な日本人青年。 「北海道の行きたい!」 「に、だろ?」 青年は、金髪女性の言葉遣いに注意する。女性は青年の言葉を聞いて、慌てて訂正した。 「あ、北海道のに行きたい!」 「いやいやいや、足りないわけじゃなくてさ」 苦笑しながら、青年は右手を左右に軽く振る。 「解った解った、北海道にの行きたい!」 ポン、と手を打つ。そういった仕草は、日本人そのものなのにと青年は溜め息を吐く。 「正しくは、北海道に行きたい。もしくは、北海道へ行きたい。に、なるね」 「日本語、難しいね!」 長く伸ばした金髪を揺らし、女性は腕を組むが上手く組めず諦めていた。 「そうだね。特に文法は難しいし、漢字や平仮名や片仮名と文字にバリエーションもある」 「日本人、細かすぎるんだよ」 「……そうかもしれないね」 青年は、ただ笑った。 ※彼女は、『背が伸びたい』と言ったりもする。 ※ただ、彼は多分国文科ではないかと思われる。 [戻][進] |