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幻滅デイリー
イタリアレストラン
「本格的なイタ飯屋は、初めてや」
メニューをペラペラと捲っては、目移りを繰り返す女。
「俺も」
「なぁなぁ、何頼む?」
「俺は、もう決めてあるんだ」
本格的イタリアンレストランなだけあって、店内はかなり洗練された雰囲気だった。
「えー、何? 教えてぇやー」
「内緒」
男は、壁のタピストリーやレイアウトを眺める。
「それにしても、本当に洒落た店だな」
「せやなー」
キョロキョロと、思わず辺りを見渡してしまう。すると、オーダーを訊きにスタイリッシュなウェイターがテーブルに近付いた。
「お客様、ご注文はお決まりになりましたでしょうか?」
「先、言うてええよ」
まだ、メニューを見ている女は決まっていない様だった。一方、既に決まっている男は短く返事をする。
「俺、チャーハン」
ギョッとする店員。チャーハンですか、とたじろぎながら小声でオーダーを聞き返す。
「チャーハン」
「ハァ? チャーハンって、中華料理やろ?」
「だって、漢字だったら炒飯って書くだろ」
店に設置してあるペーパーナプキンに、自前のボールペンで『炒飯』(イタメシ)と書く。
「お前は阿呆や! 最強の阿呆や! もう、店員に謝れ! 土下座しい」

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あきゅろす。
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