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幻滅デイリー
死亡予想図2
 ぱっ、と思い付いた様に訊いてみた。しかし、随分とわざとらしくなってしまう。元々、ぼくは嘘が苦手なのだ。

「もしもの話だけど、ぼくが死んだら……君はどうする?」
自分が死んだら、なんて馬鹿馬鹿しい。だけど、それはぼくが言い出しっぺでは無い事が、唯一の支えになっていた。自分が死んだ時の話をするなんて、遺言かと自嘲したくなる。自分が死んだのならば、自分はそこにはいないのに。なんて、馬鹿馬鹿しい話。全く、救いようの無い馬鹿な奴がする話。だけど、その馬鹿がぼくなのだ。嗚呼、自問自答なんてますます末期症状だ。書き物をしていた彼は、顔を上げてこちらを見た。よく見れば、彼の姿勢は頗る悪かった。それが視力による物なのか、骨格の歪みによる物なのかは判断出来ないが。そして、漸く口を開けた。
「俺は怒るよ。──死ぬ時は一緒だぜ、兄弟」
あっけらかんと、簡単に彼は言ってくれた。彼とぼくとは一滴の血の繋がりも無いけれど、(しかし、根本的に考えれば二人とも先祖は源氏なのだから、一滴くらいは同じかもしれないが)彼はとても明るく言った。
「ああ、是非ともな」
何も考えずに、ぼくは二つ返事で軽く答えてしまった。

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