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幻滅デイリー
死亡予想図3
「なあなあ、もしも俺が死んだらどうする?」
人には「俺は怒るよ。──死ぬ時は一緒だぜ、兄弟」とか言いながら、結局他人に訊いてしまうのは人の性なのかもしれない。わたしは、彼が人にそう答えていたのを知っている。その彼の尻の軽さと気の重さに、酷く苛々していた。こちらは本を読んでいるというのにも関わらず、その図々しさもカンに障った。誰にでも懐く態度と、誰からも好かれる人柄。わたしは、それに嫉妬していたのかもしれない。

 わたしは本を読む振りをしながら、ずっと考えていた。彼はそれに馴れている様で形容するならば、目を輝かせながらこちらを見ていた。
「うん、謝りに行くよ。お前を殺すのは、きっと──わたしだからね」
「あはは、俺の両親はもうとっくの昔に死んでいるよ」
「だから、墓前で詫びるさ」
端から見れば冗談の様だが、わたしは本気でそう言っていた。
「あ、解った! 俺が君を、ずっと苛々させているからでしょ?」
にかっ、と笑うその笑顔にも苛々した。可愛さ余って憎さ百倍、とかいうものともまた違う。とにかく、だ。
「解っているなら、少しは考えて行動しろおおおッ!」
そう言って、わたしは彼を押し倒して強く首を絞めていた。

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あきゅろす。
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