重ね過ぎた夜(ちり紙) 着物に手をかけ、ゆっくり丁寧に愛撫を続ける。 「んん?! 半…助??」 「名前を入れてね、悪いな…。寝てる君に欲情してしまって…」 「あッ、あたしに?? ほんと??」 私の下でぽぅッと赤くなり、崩れた胸元を見て、声を上げる。 「やッ!! 半助さんッ、こんな跡つけられたら困ります!!」 「なんで困るんだ??」 顔を近づけ、少し不機嫌そう。 「あしたはどぶ掃除があるんです…」 「こんなに胸元開けてどぶ掃除を??」 「重労働だし、肌蹴て、何かの拍子で見えるかも…」 「…私にもつけていいから。この跡が消えるまでは我慢しなさい」 「ど、土井先生だって困るでしょ??」 言葉とはうらはら。君のゆるんだ口元。 「最近学園でクノたまたちが色気づいてきてね…」 「えッ?! やッ、やだッ!!」 私に抱きつき、胸元を強く吸う。 「そんなんじゃすぐ消えてしまうよ…」 からかうと、名前を入れてねの手が胸板を撫で、上着の中に入り、裸の背中にまわる。脱がされてもいないのに、ぞくぞくしてつい声が出る。 「ああッ」 「半助…、最初はね。あたしなの…」 「ん…」 名前を入れてねの舌が半助の乳首を捕らえる。 「…どうしても行ってほしくなかった時に、半助に意地悪したら、ずっと一緒にいてくれたから」 「別れるって言ったあれ??」 「…うん。大嫌いなんて…今までいち度も思った事ないんだよ」 「私は本気にしてた…」 「知ってた。あたしに一生懸命になるあなたが見たかったの…」 「…意地っ張り」 少し笑って、君のくれる快感に身を委ねる。 「やっぱり、着物とあなたじゃ…全然違う」 あったかい。 「この半年間、君から別れ話を切り出されるのが怖くてたまらなかった。こんなに愛してくれていたのに」 「意地っ張り直すから…」 「もっとお互いに言いたい事は言い合おうか…」 やっと溶けた氷。少しの間の後、名前を入れてねが顔を上げ、両の口から発せられた言葉で、空気が振動する。 「「愛してる」」 [前へ][次へ] |