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ほっぽかれた日記
2011.12.11(日) 11:53
今日もいい天気だなぁ…。
私は空を見上げた。
天界の空は今日もオゾンの薄い水色と宇宙の真空が入り混じり、神秘的な色合いだ。
あの子が落ちて行ったのは、こんな日だったな…。
私は首を振った。
悲しい思いに浸っていても、あの子が報われるわけじゃないから。
「…さん、リコリルさん。どうしたんです?空を見上げて…」
声に振り向くと、同僚の男性が不思議そうに立っていた。
「あ…こんにちは。すみませんぼーっとしちゃって…何かごようでした…かっ!?」
どたぁっ!
私はスカートの裾をふんずけて、見事に転倒した。
「わわわっ!大丈夫ですか!?」
「ええ…いつもの事ですから。えへへ…。それで、ご用件は…?」
じんじんとおでこが痛む。
ほぼ毎日一度は転んでいるので、おでこが丈夫になりつつある気がする。
「え、ええっと、これなんですが…」
私は、彼の手にある物を見て驚愕した。
あの子の。あの子のダーツだ。
懐かしの学生時代、いつも魔法の授業であの子が使っていた。
まさか…まさか…まさか!
「あのっ!それ…」
「雲の端に突き刺さっているのを神子様が見つけたらしくてですね…私に届けてくださったのです。」
私は思わず、同僚からダーツをむしり取った。
ダーツには、紙が括り付けられている。
そしてそこには…
『リコリルへ。』
あの子の字だった。
少し呆然として、その後えもいわれぬ気持ちが押し寄せた。
生きていた。
天界から落ちた、私の親友が。
こんな奇跡、諦めていたのに。
「宛名が貴方様になってましたので、探していたのですが…。」
「ありがとうございます…ありがとう、本当に、ありがとうございますっ!!!」
まだ仕事が残っているけど、それどころじゃない。
私は泣きながら便箋屋さんに駆け込んだ。



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