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ご指名は?1.5 日常の日常
2022.01.15(土) 21:11

現在(1月15日)、21時ウンヌン分うんちゃら秒。ここは屋敷の隼人さんの部屋。

コツ、コツ..

「...」

隼人さんは、うつ伏せになって、教科書に頬をつけた状態で座っていた。

顔を横向きにしているので、今の彼と目が合えばどっきゅん。彼の彼女気分を味わえるという訳だ。

と、それはともかく。

「何もする事ないなぁ..。」

シャーペンをさっきからレポートのプリントにコツコツ当てている。相当暇しているようである。

彼は貴方に会いたいと常日頃から考えている性質だが、何も用が無いのに彼女の部屋には行けない。まだ彼氏でもないのに。

"まだ"彼氏でもないのに、のところが隼人さんにとって大事なところである。ちゃっかり男子。

「...あの子はもう高校始まってて、冬休みが永遠に続けば良かったのにって独り言呟いていたけど..」

と、彼が独り言を呟く。

顔を、横向きに教科書にのせるのをやめ、腕を組んで顎の下にフィットさせた。こうすれば顔や首を痛めずに済む。

「冬休み冬休みすぎて本当に何もする事が無いなぁ..。」

はぁ、とため息が出てしまう。

彼、中身はしっかり者の要素もあるので、怠惰な部分などあまり無い。

隼人さんは、夕飯を作り終え、明日皆んなが食べる用の朝ごはんも前置きで作って冷蔵庫の中にしまってしまっている。ので、何もする事が無い。

大学生は高校生より休みがかなり多いと思う。冬休みじゃなくても、授業ない日は多い。単位全取得とかは流石にまだまだだけど、コツコツ取っているので焦る必要は全然無い。

「...今日の分の課題ももう終わっちゃうしな..」

よって、宿題もコツコツ派。何もかも少しずつ、順調に進められる男なので切羽詰まる事などない。真面目of真面目。

「うーん..俺も昔は冬休みが嬉しかったような気がするけど。」

今この瞬間はつまらない。貴方にも会えないし、大学の友だちに、暇な時に突然電話できるような性格でもないし(相手に迷惑かかるかもしれないから)。

「休みを羨ましく思えるのって羨ましいな...」

隼人さんは、外に出てもそこまでストレスを感じない性格。全然感じない訳ではないが、素がしっかりしているので、"しっかりしよう!"という意気込みなくとも動けるから、人より消費するエネルギーが少なめと思われる。

そういう意味では、彼にとって休みがあってもなくても同じようなもの。乱暴な言い方をするとだが。

「...」

ひま。ひまである。

...そうだ。

そうとはいえど、せっかくの休みなのだ。なら普段できないような楽しい事を、やってしまえばいい。

いつもは、従姉妹の子の世話をしてやったり、屋敷の中の困ったちゃんのホストメンバーの世話をしてやったり、他人のために何かと世話を焼きがちだ。彼の性格的に、そういう役割を無意識的に頼み込まれる事が多いからだ。

なのならば、今の時間は、自分の為だけに、たっぷり楽しい事をしようではないか!

隼人さんは、うつ伏せ状態を即座に解除し、ただちにシャキッと姿勢を正した。

ーーーそうだっ!

「筋トレしよっ!」

彼のアーモンド形の綺麗な瞳は、爛々と輝いて。

...前言撤回、的にもう一度言う。彼は真面目of真面目で、スキあれば自分を鍛えようとするのだ。

どっかのテレビ番組でチラッと見た、逞しい筋肉の男たち。自分もアレになってみたいと、密かに男の憧れを持っていた。でもなんか、周りにそう言いふらすのは、ちょっと恥ずかしい気がする。

と、勢いづいた彼は、筋トレ法を調べるより先に、腹筋をし始めた。ふっ、ほっ、はっ!と、かなりスピードが速かった。




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