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雨の日は





『……次は〜○○高校前。お降りの方はお知らせ下さい。』



「あ、俺次で降りるから。」


あれから、話題も尽きて互いになんとなく静かにしていたが、その静けさを先に破ったのは尚希の方だった。


「そっか、尚希の高校ここだっけ。」


俺の言葉にそうだよ、と頷きつつ、降りることを知らせるブザーを押した尚希。


「帰りは時間帯違うだろうし、今度会うのは、」


――また次の雨の日だな。


そう言って微笑んだ尚希の顔が目に焼き付いて、それと同時に恥ずかしくなった。


(なに、これ。ドキドキしちゃってる。)


「久志?」


急に顔を赤くしてしまった俺を不思議そうに見つめる尚希。


見つめられれば見つめられるほどドキドキして顔が赤くなっていく俺。


「っ! 雨の日以外はメールするし!」


そんな自分を誤魔化すように言った言葉は、まるで会えない日は淋しいからメールしたい、とでも言いたげな響きになってしまって……。



「かわいいやつ……」

『まもなく、○○高校前〜。お降りの方はバスが止まってから席をお立ちに……』



尚希が言った言葉は、バスのアナウンスにかき消されて聞こえなかった。


「尚希? 今なんて……?」


「じゃあな!」


何と言ったか尋ねる俺の声を無視して、尚希はバスを下車していってしまった。



「……なんだよ、気になるじゃん。」



 疑問を抱えた俺を1人残して。



 

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