雨の日は
バスの中で
バスがきた。
……誰も乗ってねぇ。
まぁ、いつものことだ。
吹奏楽部の俺は朝練の為、6時台のバスに乗っている。
この時間帯は誰も乗っていないことが多い。
そういえば、何で尚希はこんなに早く学校に行っているのだろう……?
疑問に思ったので聞いてみることにした。
「あのさ、尚希は何でこんなに早く学校行ってるんだ? 朝練とか?」
「あぁ。」
……なんか素っ気ない返事だな。
「俺も朝練なんだ。吹奏楽部だぜー! お前は何部?」
と、尚希の態度には構わず、更に聞いてみた。
「……へぇ、そっか、吹奏楽か……それより、メアド教えろよ!」
「……? お、おぅ!」
……なんか、話を逸らされた気がするけど、俺もアドレス知りたいからOKした。
「はいっ! 送信完了! 久志、メールたくさん送って来いよ?」
俺には尚希が空元気を振り絞っているように思えた。
でも、尚希が話したくないなら、無理には聞かないようにしよう。
無理に尋ねて、気まずい雰囲気にはなりたくない。
(そうだよな、これっきりってわけでもねえし、いつか聞こう。)
そうやって色々と考えていた俺は気付くことはない。
隣に座っている尚希の苦しげな表情に――。
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