雨の日は 雨の日の出会い 「今日も雨か…」 ――雨の日は 俺は久志、高校1年生。 晴れの日は自転車、雨の日はバスで通学している。 バスは一緒に乗るダチもいないし嫌だ……。 でも、雨に濡れると皮膚が弱いらしく荒れてしまう……。 荒れるだけならまだしも、かゆいんだな、これが! なので仕方なく雨の日はバスで通学している。 そして今日も雨…… 「バス通学かよ……。」 憂鬱な俺。 さっきも言った通り友達もいないバスは本当に退屈だ。 「つまんねぇ……。」 バス停で溜め息をつく。 そこに現れた一人の男―― 「久志じゃん!」 中学の同級生、尚希だ。 そこまで仲が良かったわけでもないけれど。 「おぅ、尚希、バスで通学してんの?」 一緒にバスに乗れるなら、俺の雨の日も楽しくなるかもしれないと思いそう言った。 「あぁ、俺、お前の高校の近くの私立に通ってるんだけど、この前、高校にチャリ置いてたら盗まれてさー。もう絶対チャリで通学しないって決意したわけよ。」 笑いながら言う尚希。 高校の敷地内で盗まれるってすごいな……。 「久志はバス通学なんだ?」 「いや、雨の日だけ…」 特に理由を説明する必要もないと思い、素っ気なく答えた。 「雨の日だけかー。でも、雨の日はお前と一緒に行けるから楽しくなるかもなっ!」 爽やかな笑顔で尚希が言う。 ……こいつこんなに格好良かったっけ? そんなことを思いながら二人してバスを待っていた……。 これが恋の始まりだとは知らずに―― [次へ#] [戻る] |