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小説(岩男)
黒と赤 2【黒クイ×クイ】







「・・・・・・。」









二人は無言だった。








ただクイックは無意識のうちに武器をすぐに使えるように構えていた。










すると向こうが口を開いた。











「・・・お前がクイックマンか。」







「・・・そういうお前は?」








クイックは聞き返した。

たぶん自分の声は震えていたんじゃないかと思う。








向こうは答えなかった。


そのかわりにこちらに足を進めてきた。










クイックは反射的に後ろへ飛んだ。



自分そっくりな機体、そしてそいつのあまりにも冷たい目に恐怖を感じたからだ。








そしてそいつが光にさらされたとき、クイックはさらに驚いた。











色である。







そいつの機体は自分にそっくりであるが、明らかに違う点があった。




それはその機体の色と目の色だ。







自分は赤の装甲に黒い身体保護服、目は碧眼であるが、
そいつは黒の装甲に赤い身体保護服、目は血のように紅く・・・冷たい。








そいつは自分とそっくりであるが、逆に全く違う存在でもあるとクイックは思った。










「もう一度聞く。・・・お前は誰だ?」









クイックは距離を置いたまま、睨みつけるようにしてそいつを見ながらそう言った。








また無視されるかと思ったが、そいつは口を開いた。













「・・・俺は『ブラック』。・・・クイックマンを元にして作られた。」









「!!」









だからか。とクイックは舌打ちをした。
最初からそんな予感はしていたが、それが当たってしまったのはあまりうれしくない。











「誰に・・・作られた。」






「分からない。」





「は・・・?どういうことだよ。ふつーロボットたちは・・・」











クイックは最初ふざけているのかと思い、強く睨みつけながらそう言ったが、そいつの目に一瞬だけ哀しみが表れたのを見て何も言えなくなってしまった。








だが、哀しみの色を帯びた目はすぐに冷たさを取り戻し、またクイックのほうを見るとこう言った。







「情けや同情など必要ない。むしろ反吐がでる。」









「・・・別に情けをかけたつもりも同情をした覚えもねェよ。」






クイックは苦虫をかみつぶしたような顔でそういった。
ブラックは「そうか。」と言うと、クイックに背を向けた。








「No.012。早くついて来い。」






「はぁ!?なんで俺がお前についていかねェといけないんだよ!」







クイックがそう言って憤慨すると、ブラックは振り返って呆れたような目を向けてきた。









「・・・お前は俺にこの基地を壊せと言っているのか?」









「は?」






クイックは意味が分からないという顔をしてからブラックに目で説明するよう訴えた。








「全く・・・データ通りだな・・・。もうちょっと物事を考えたらどうだ?」








「・・・それはどういう意味だ?」









クイックはそういって武器をブラックに向ける。
するとブラックはため息をつき、「俺の気遣いを無視する気か?」と言った。











「俺は敵でも味方でもないんだ。




・・・お前はなんで俺がここに来たと思ってるんだ。」








クイックは、その言葉の中に脅迫が含まれていることに気づいた。





『ついて来なかったらこの基地を破壊する』・・・と。






それはほかのDWNにやられるはずがないというブラックの自信が見える言葉でもある。









クイックは深呼吸をするとブラックの後を追いかけた。









クイックの赤は




深い暗闇に飲み込まれていった・・・。













【続】






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