小説(岩男)
黒と赤 1【黒クイ×クイ】
「・・・お前がクイックマンか。」
「・・・なん・・・だよ・・・!お前は誰だ!なんで俺にそっくりなんだ!?」
「俺の名は『ブラック』。お前を元にして作られた。似ているのは当然だ。」
「俺を元に・・・?!それって・・・」
「無駄口はここまでだ。さぁ・・・始めようか、
クイック?」
黒と赤
クイックはふと目を覚ました。
時計を見ると午前一時、いつものクイックなら寝ている時間である。
クイックは規則正しいので一度寝ると一定時間がたつまで起きないのだ。
逆に言うと、一定時間がたつと必ず起きるのだが。
とにかく、今日のクイックはいつも通り九時に寝たにもかかわらず、起動予定時間の四時よりも三時間も早く目覚めたのだ。
その理由は『不思議な感覚』であった。
心がざわめくような、引き合うような・・・まるで自分を呼んでいるような。
もちろん声が聞こえたわけではない。敵が来たという感じでもない。
とにかく何かを『感じる』のだ。
「・・・・・・。」
クイックは何も言わずにベッドから下りて自部屋から出た。
そこに広がっているのは暗闇と静寂。
・・・自分を呼ぶような感覚は外から感じる。
クイックは歩みを進めた。
カツン
カツン
カツン
自分の足音が響く。
「・・・誰だ。」
クイックは基地から出るためのパスワード式ゲートの前でそういった。
「・・・・・・。」
向こうからの返事はない。
だが・・・
ー『パスワード確認』
ー『パスワード認識完了』
ー『機体確認・・・
No.012
クイックマン』
そんなゲート管理ロボの声が聞こえたかと思うと、ウィィィンという音と共にゲートが開いた。
「!?」
クイックは驚愕した。
最初はゲートロボのエラーかと思ったのだ。
DWNと博士以外にパスワードを知るものはいないはずであるし、それどころか機体認識で自分の名前が出てくるなんてありえない。
だが、そこにいたのは・・・
自分だった。
【続】
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