繋いじゃった


僕の手を引き歩く君、君に並んだ今もこの手は離されなくて。
手を繋ぎ並び歩く僕らはどこまでいくのだろうか、目的地なんてなければこの手はずっとこのままだろうか?


「ねぇ、ここなんてどうかしら?」

「・・・・・・、」

「リーマス?聞こえてる?」

「え、あ、うん!」


どこまでも、なんて願っていた僕は彼女の2度目の呼びかけでやっと応えた。
着いてしまった先は、太陽の光を受けきらきらと光る澄んだ川の近くだった。


「ここ、きれいでしょう?わたしのお気に入りの場所なの。リーマスには特別に教えちゃうね。」

「本当、綺麗だね。ラナ秘密の場所を教えてもらえて光栄だな。」

「秘密ってわけじゃないよ、でも誰にも会ったこと無いからやっぱり秘密かも。」


そう笑ったラナは木陰に座ると自分の隣をぽんぽんと叩く。
叩かれた場所に僕が座ればバスケットを差し出してきて、お好きなものをどうぞなんて言った。
それじゃあ、と僕はハムサンドを、ラナはたまごサンドを手に取り食べ始める。


「・・・美味しい。」

「ね?見た目だけじゃなかったでしょう?」

「うん、このソースなんかも作ったの?」

「ええ、料理はちょっとした趣味なの。」

「へぇ、今度教えてもらおうかな。」

「もちろん、よろこんで。」


彼女の新たな一面を知れて、僕の胸はまた騒ぎだす。
こんなにうるさい僕の音はラナに聞こえないだろうか、そう思い隣を見ても彼女は川の流れを楽しみながら美味しそうにサンドイッチを食べているだけだった。


「美味しかったよ、ごちそうさま。」

「お粗末さまでした。」

「これからどうする?」

「実は、この辺の木の実も取りたいの。・・・手伝ってくれる?」

「もちろん、美味しいサンドイッチをごちそうになったからね。」


バスケットを持ち立ち上がったラナはこっちなの、と歩き出してしまう。
そんな彼女の後ろを歩く僕は、手を出したり引っ込めたりの繰り返しをしていた。
君の手を掴みそうで掴めない、そんな距離でずっと。
いつまでも隣に並ばない僕に君は笑ってこう言った。


「手なんてほら、伸ばせば簡単に捕まえられちゃうものなんだよ?」


簡単に掴んでしまったラナは僕の手を引きまた歩き出す。
君に気付かれちゃうなんて格好悪いな、僕は。

繋いだ手から君にも移ればいいのに、この音が。



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あきゅろす。
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