悪いことしちゃった


彼女は放心状態の僕にまたね、と声をかけ村とは逆方向へと行ってしまった。


「唇、食べられちゃった・・・。」


ぽかんとしながらも、起き上り彼女の歩いて行ってしまった方向へと目をやる。
もう彼女の姿はないけれど、そちらを見ているだけで胸の音がうるさい。


漸く村へと帰ってくれば親友が出迎えてくれた。


「おい、リーマスが帰ってきたぞ!」

「遅かったじゃないか!心配してたんだよ!」

「・・・ごめん、遅くなっちゃったね。」

「・・・なんかあったのか?」

「な、にもなかったよ。」

「ホントに?ホントに大丈夫だったのかい?」

「大丈夫だよ、僕はこれ置いてくるね。」


ホントはなにもなかったわけじゃない・・・。僕の秘密を知られてしまった。
充分何かあったのに、僕はそれを言えなかった。
言えば誰かが彼女を追うかもしれない、それが村の為だから。

でも僕は言わなかったんだ。
誰にも言わないと言った彼女を信じたい、どうして会ったばかりの彼女をそこまで信じるのか自分でもわからないけれど、またねと告げた彼女にまた会えたらいいな・・・って。


いつの間にか着いていた食糧庫に荷物を置き、自分の家へと帰れば中には彼らの姿があった。



「よっ!さっき聞き忘れたけどよ、街でなんか面白いもんあったか?」

「ごめん、だいぶ探したんだけどなかったんだよ。2人には悪いことしちゃったね。」

「なぁーんだ、残念。まあ僕らが面白いと思うもんなんてそうそうみつからないよね!」

「そうだな!ま、なきゃ作ればいいんだよな!」

「そうそう、僕らの手にかかればお手のもん!ってね。」

「うん、そうだね。」


あれだ、これだと色々考えてるうちに夜はどんどん深まって行った。


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