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2.迷子
彼を拾ったのは1週間ほど前。
時間を潰すため、本屋にでも足を運ぼうとした時の事だった。
多くの人が流れる通りの片隅に彼は居た。
突然降り出した雨に皆が帰り道を急ぐ中、呆然とその場に立ち尽くしている姿は異様なものだった。
まるで迷子のようだと思った。
大きな大きな迷子。
彼はどこから来たのだろうか。
その身に纏う雰囲気はこの世界に馴染んで無く、興味がわいた。
頭の中でシグナルが鳴り響く。
止めろ、危険だ。と。
厄介事に自ら首を突っ込むのは愚か者がする事だ。
だから無難に目立たず生きてきた。
今の生活に不満はない。
そう思っていた。
でも実際は変革を求めていたのかもしれない。
気がつけば、俺は彼に声をかけていた。
060416
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