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よみもの~中等部編
9 ~yuka

放課後、今日はカノンは私との放課後ミーティングなしで音楽室へ
なんでもカノンのレッスンの後は、部活のみんなで優先輩を囲んでお茶会なんだって
ホ〜ント、アットホームな部活

私は図書室で本を読んで桃城君を待つ
流石に今日は人気が無い図書室
今日みたいな日に、図書室でゆっくり本を読むなんて。。。ま、私くらいよね

なんだか時間がたたないな〜
去年カノンとぼーって待ってる時は、時間なんて気にならなかった
っていうよりも、なんだか、ふわふわ楽しいキモチだった

カノン、もうお茶会終わったかなぁ
メール、してみようかなぁ

 To;レッスン終わった?私、図書室にいるんだけど

メールを送っても、返信が無いってことは、
まだお茶会中かな。。。

それにしても、退屈。。。

何回目の溜め息をついただろう
あれから、何ページ、この本を読み進んだんだろう

もう一度メールしてみようかな、って思ってたら、カノンから返信

  Re;今終わりました。私、図書室に行く?

   Re;私がそっちに行く。
      どこ?第1音楽室?それとも視聴覚教室?

    Re;第1があいてるみたいだから、そっちにいます。
       使えそうになければ、視聴覚教室でいい?

     Re;了解。


場所は第一音楽室
第二音楽室からは、ステキなピアノの音が聞こえる
きっと優先輩のレッスン
何の曲かはわからないけど、とってもキレイ
そしてその先の第一音楽室からもピアノの音
これはきっとカノン

なんだかスゴくロマンチック?
優先輩のピアノのように『うっとりと関心』はしないけど、
『感動』っていうのかなぁ。。。なんだか泣きたくなっちゃうような音

こそっと第一音楽室の戸を開けると、ぴた、と音がやみ、
ピアノの譜面台のカゲからいつものにへ〜っとした笑い顔を覗かせる

「由香ちゃん...」

カノンは決して『美人顔』じゃない
だけど、人をホッとさせる雰囲気を持ってる

私はカノンのこの顔が大好き
きっと海堂君も。。。

「お茶会、どうだった?」

カノンは、先生の持ってきたケーキがスゴくおいしかったよ、って、ヘヘッと笑い、
椅子に座ったまま、身体を窓へと向ける
ここからはテニスコート全体が見渡せるんだもんね
去年、こっそりとカノンが教えてくれたの、特等席だ、って

いつもカノンはここから海堂君を見てたのかな
あれ?
今、海堂君、コッチ向いた?
うん、一瞬だけど、コッチ向いたよね?

そっかぁ。。。
きっと海堂君も、そうやっていつもカノンの事を想ってたんだろうね。。。

あ、いたいた
ははっ、桃城君、モテてるじゃん今年もっ
ナンダカンダっていっても、今日は練習にはならなさそうよね?
しょうがない、キミは青学VIPだもん
今日はチョコレートを徹底的に回収しなさい

ふふっと小さい笑い声
カノンもおんなじコト考えてるかな?
私はカノンのすぐ横に椅子をひっぱってきて座ると、
ああ、そうだ、と、カノンはうれしそうに笑う

「残しててもしょうがないから、って、ケーキ、みんなで分けたの
 由香ちゃん、お腹空いてない?」

カノンは身体を傾けて、ピアノの上にあったアルミホイルの包みをくれた
へにゃへにゃと笑う優しい顔に自分まで優しくなれる
ホント、私が男だったら、絶対絶対カノンをカノジョにする!!
くっそーーー、海堂薫めっ!!!

私は貰ったケーキに、がぶ!っとかぶりつく

「あ、おいし...」

「わ〜、由香ちゃん、豪快にいったねぇ」

カノンはへにゃっと笑って、またピアノに向き直った
綺麗な曲。。。
さっき聞こえてきた時も思った
なんだか泣きたくなってくる

優しい音

悲しい音

激しい音

頭の中がぐるぐるする

私、海堂君に嫉妬してるのかな?
それとも私、緊張してるのかな?
だから、気をそらそうと、海堂君に八つ当たり?
私ってこんな性格だった?

もうずっと考えてたコトを、今日、実行に移そうと思ってる

ずっと、ずっと『このまま』で。。。『今のまま』でいたいって思ってた

ずっと今のままでいたいから。。。

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あきゅろす。
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