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よみもの~中等部編
11~kaoru

「うわ、もうこんな時間」
時計をみるともうすぐ12時、日付が変わる
それなのに、頭が冴えてしまって、眠れそうに無い
「父さん達、まだのんでるのかな?」
「うん、ちょっと下に降りてみる?
 なんか、小腹がすいちゃった...海堂君は?」
「あ、うん俺も...でも、お前、眠くねぇか?」
「頭がバッチリ冴えちゃって、眠れそうに無い、海堂君、眠かったら先に寝たら?」
「いや、俺も...眠れそうにねぇ」
「それじゃ、今晩はオールナイトでハリーポッターでも観ますか?」
「おう、望む所だ、先に寝潰れてんじゃねぇぞ」
合図をしたわけでもないのに、俺とアイツの拳がコン、と二人の間で合わさった

リビングに降りてみると、
いい加減出来上がった母親二人が、お茶を飲みながら井戸端会議中
父さん達はまだ静かに、ブランデーをちびちび舐めてる
「あら、二人共まだ寝てなかったの?」
おばさんが、俺達をみてびっくりする
あれ?おばさん、酔っぱらってない、ってか、もう醒めてるみたいだ
「映画観はじめたら、止まんなくなっちゃって
 今日は限界まで映画鑑賞しようって
 どっちが長く潰れずにいるか、競争しようか、って、ね?」
一枚大きな皿を取り出して、夕食の残りや、クラッカー、フルーツを適当に盛りつける
ハイ、と、その皿を俺に渡して、海堂君ジュースにする?お水?と言う
「あ、俺、水」
「お母さん達も何かつまむものいる?」
母さんがおいでおいでをしながら
「奏音ちゃん、ちょっと、こっちにいらっしゃいよ?」
と、アイツを呼ぶ、おい、母さん、大丈夫か?
適当につまみを皿に盛って、それをもって母さん達のいる方へと、つたつたと歩いていく
「奏音ちゃん、薫、何かヘンな事してないわよねっ!?」
俺は嫌ぁな汗が、背中を伝うのがわかった
どうか顔にはでてませんように。。。
「やだ、おばさまったら、海堂君がそんな『ヘンな事』するように見えますか?」
呆れたように笑いながら、アイツがいう
じぃっ。。。っというか、じろっと俺を見る母さん
「はぁ...意気地なしね」
「はぁっ!?」
今度は俺がたまらず声を上げた
「智子さん、ごめんなさいね、こんな不甲斐ない息子で」
「か、母さんっ!?」
その俺と母さんの会話に、アイツを含む、菊池家全員が爆笑した
え?な、なんだ?
「ホント、薫君も奏音ちゃんも...
 何時間も二人っきりでいて、チュウの一つもしてないの?」
「うわぁ〜!」
今度はアイツの番
。。。って、手を合わせて、何喜んでるんだよ?
でもアイツは一枚も二枚も上手
「どうする、海堂君っ!?
 両方のお母さんから許可が出たみたいなんだけどっ
 後でチュ〜の一つでも試しにしてみるっ?」
「奏音ちゃん、チュ〜くらいならいいけど、その先はちょっと感心しないわねぇ」
「えぇ〜っ、その先って、ちょっとそれはお試しする勇気は流石にないしっ」
そんなやり取りを唖然としてみていると、おじさんが笑いながら会話に割って入った
「薫君、びっくりしたかい?
 ホラ、海堂さんも、そんな決まりの悪そうな顔しないでくださいよ
 家では結構オープンにこういう話はするんですよ
 薫君は真面目で、いい息子さんだってわかってるから
 こういう会話も成り立つんですから、ね」
そういうおじさんに、父さんも、そうですか?と、きまり悪そうに笑う
「薫、どうだ?信用されてる気分は?」
テレの矛先が俺に向かって来た
「どう...って...」
答えようがないだろ?
さっきのさっきまで『チュウの一つ』どころか、数えきれないくらい。。。したんだぞ?
おじさんはニコニコ笑いながら、俺に助け舟をだす
「答え様がないよね、薫君?
 やましいことがなければ、堂々としてればいいんだよ
 さあ、海堂さん、今夜は潰れるまで、のむ約束ですよ?」
ど。。。堂々と、って。。。
そりゃ、や。。。やましくはないけど。。。
いや、やっぱ、やましいのか。。。

俺はどうしていいのかわからずその場で佇んでいると
かのんの元気な声が俺を呼んだ
「海堂く〜んっ、ホラ、早く食べて続き続き、徹夜したって観終わんないよ〜」

リビングをはなれ、またキッチンで食べ物を皿によそいながら、あ〜。。。と、かのんが提案をする
「続き観る前に、シャワーでさっぱりしない?
 パジャマに着替えて、いつ潰れてもいいように用意しとこうよ」
「俺はお前より先には潰れねぇよ」
「言ったね?私、結構夜は強いんだから」

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あきゅろす。
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